[翻訳]ソフトウェア信者になってはいけない



BlenderNationで紹介されていた記事の要約。VFXアーティストSean Kennedyさんへのインタビュー記事です。

"Don’t become a software snob"—Sean Kennedy tells the story of his VFX career
http://www.blendernation.com/2016/02/17/dont-become-a-software-snob-sean-kennedy-tells-the-story-of-his-vfx-career/

MY CAREER WITH VFX SOFTWARE (OR, YOUR SOFTWARE IS NOT THE BEST)
http://blog.render.st/guest-post-my-career-with-vfx-software-or-your-software-is-not-the-best/

※ガバガバ翻訳なので注意



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2002年にプロのビジュアルエフェクトアーティストとしてのキャリアが始まった。友人が小さなビジュアルエフェクトスタジオで働いており、彼は「Austin Powers in Goldmember」という作品の為に雇われていたのだ。私はAfterEffectsを家で少し触っていた程度だったのだがスタジオの中のチームで一緒に働かないかと誘われた。そのスタジオではAfterEffectsを採用していた。しかし私はそれほど熟達していなかったので手に負えないかもしれないと彼に伝えた。かろうじてキーフレームを入力したりロトスコープに一回くらい挑戦したり、その程度だったのだ。とはいえ結局スタジオは私を雇用することに決めた。

ビジュアルエフェクトとは何なのかその時点ではほとんど理解していなかった。1996年、学校の授業の一環でKinetix社の3dsMaxを学びそしてAdobe社のPhotoshopに少し触っていた。Alias社のPowerAnimatorは私のコースではなかったが、どういうわけだったかそれもかじっていた。PowerAnimatorはのちにMayaとなるプログラムのことだ。


ミニチュアモデルやアニマトロニクスクリーチャー、特殊メイクなどを扱って働く為に学校卒業後カリフォルニアに移住した。学校に通っていたのは実のところこのような実践的な特殊効果を学ぶためで、3dsMaxの授業はオマケで付いていたものだった。しかし少なくともこれがデジタルエフェクトに触れる最初のきっかけとなった。

スタジオでは彼らはみな「Austin Powers in Goldmember」に取り組んでた。私の働きっぷりを少しでも見ればすぐにでもクビになるだろうなと確信していた。ところが蓋を開けてみると驚くほど早く学び作業を終わらせることが出来た。なぜなら3dsMaxを少しかじっていたからだ。最終的にはその映画に関するいくつかの3D作業も行わせてもらった。私に合ったデジタル作業が揃うまでの間は特殊効果の仕事とビジュアルエフェクトの仕事を掛け持ちして働いていた。私が今でも使用している全ての技術はこの頃にスタジオが教えてくれたものなのだ。

この頃よく人に「なんのプログラムを使用しているの?」と聞かれた。AfterEffectsに言及するとほとんどのプロの人が困惑していた。「モーショングラフィックスだけの為に?」「ありえない」と彼らはいつも言っていた。「AfterEffectsはモーショングラフィックスだけでなく色々出来るよ」と知ったかぶりだと思われないよう答えていたものだ。

2005年、「Sin City」の仕事の為に別の友人によってCafeFXに招かれた。そこではeyeon社のFusionが使用されていた。(現在はBlackmagic社によって開発されている)。面接中、Fusionは使ったことがあるかと聞かれたが私は当然「いいえ」と答えざるをえなかった。しかしコンポジットのやり方は分かっていること、そしてツールの場所やそのプログラムの名前などを知ってさえいればどうにかなる問題だと彼らに伝えた。無事に雇用され、リードコンポジターがソフトウェアを見せてくれた。私は2つのことを訪ねた。トラッキングツールとロトスコープツールの場所だ。カラーコレクションに関するスキルはいくつかのショットを通じて手探りで掴めるだろうと思っていた。

ところが最初の二週間は「すぐにクビになるんじゃないか」という妄想に苛まれた。作業を少し見れば私を雇ったことが間違いだったと彼らは気づくだろうと思ったのだ。というのは、私はノードを理解するのにとてもフラストレーションを感じていたからだ。AfterEffectsを何年も使用してきた私にとってはノードというコンセプトは全く理解出来なかったのだ。質問したいことを説明することも出来ずただクリックをしていた。少しすれば分かってきた。「Sin City」を終える頃、会社にとどまって次のプロジェクトに進むか訊ねられが、私はその誘いを断って小さなスタジオに戻ることに決めた。なぜならその会社がある街に住んですらおらずホテル通いをしていたからだ。

次の年の2006年、Rhythm & Hues社の仕事をCafeFXでやっているから来てくれと例の友人に誘われた。その会社はカリフォルニアに移住する前の1997年にリールとレジュメを送ったスタジオだった。当時は「お祈り」をもらったのだが、その9年後に友達とともに働き様々な経験をした結果「Garfield 2: A Tale of Two Kitties」という作品に採用されることになるのだ。今度は何のソフトウェアを学ぶことになるのだろうか?

スタジオでは色んなタイプのコンポジティングソフトウェアを使い分けるだけじゃなく同時に様々なパイプラインプログラムも使用しなければならなかった。小さなスタジオだったので時折3人しかいないこともあったほどだ。そういうことで一人で色んなものを学ぶことにもなったわけだ。マッチングムーブソフトウェア(Andersson Tech Syntheyes)、ワーピングツール (Avid Elastic Reality)、キーイングツール (Discreet Combustion)、ペインティング(Pinnacle Commotion)。。最終的な納品の為に様々な方法も学ぶ必要があった。その頃にはCafeFXも大きくなっておりレンダーマネージメントソフトウェア (Thinkbox Deadline)も学ぶ必要に迫られたものだ。

(?)そしてとうとう有名なVFXスタジオに滑りこむことになった。ここではどんなツールを使っているのだろうと待ちきれず興奮していたのを覚えている。コンポジティングソフトウェアを一から学ぶ必要はなかった。社内ツールのIcy(R&H社のコンポジティングソフトウェア)を学ぶ以外は。また以前のようにプログラムに慣れるのに少し時間がかかった。Icyだけではない。Rhythm & Hues社はそれ以外にもたくさんのツールを使用していた。プレイバックソフトウェア、アセット出力、アセット登録、レンダーファームツール、ジョブトラッキングプログラム、さらに彼らは3Dプログラムまでをも自分達で制作していた(私は純粋にコンポジターとして雇われたのでそれは学ぶ必要はなかったが)。しかもそこではLinuxを採用していたのでLinuxコマンドも学ぶ必要に迫られた。納品までの工程も学んだ。当時はまだアナログの部分も残されていたのでそれらの仕事も毎日行う必要もあったのだ。(?)

長い間に苦戦しながらも頑張った結果、作品の最後の方ではほとんどナチュラルに扱えるようになった(定期的にクビのことは心配していたが)。次の作品には全面的に関わってくれないかとR&H社に訊ねられ会社がロサンゼルスということもあり私は了解することにした。学習に終わりはない。新たなツールがソフトウェアに追加されたり(stereoscopic 3D)、全く新しいプログラム(アセットマネージメントの為のUnibrowser)に触れることになったのだ。

R&H社にいる8年の間にVFX産業ではNothing Real社のShake(これは勉強したことが無い)が廃れTheFoundry社のNuke(これも勉強したことが無い)が業界を席巻することになった。 Imagineer System社のMochaが現れたと思えば、Pixelogic社のZbrush、Autodesk社のMudbox、Maxon社のCinema4Dなどはもっと人気になっていった。私は率先してトライアルバージョンをダウンロードする人間だった。その頃はフリーランスの仕事も定期的に行っていて、新しいことを学ぶのを自らに強制するために全くやったこともない仕事を受けていたこともある。それと同時に自主制作映画も作って映画祭を回った経験もしていた。

(?)大きなスタジオになるうちに次第に縦割り化していったことに対して私は少しフラストレーションを感じていった。その頃にはリードコンポジターだったのでチームとしてもっと好きにやりたかったのだ。今までのキャリアの中では必要なショットは全て自分で扱うことが出来たのに、大きなスタジオになると違う部門が違う角度からのショットを扱っていたりした。1つのショットでさえ多くの人達が関わっていたのだ。私やチームの仕事の為に3Dの要素を加えたいと思ってもR&H社は利用可能な3dsMaxもAfterEffectsも持っていなかった。この2つのプログラムはお気に入りだったのに。だから自宅で必要な3Dオブジェクトなどを作りオフィスの自分のメールに送り、そしてそのレンダリングしたものを自分の仕事用にあるいはチーム仕事の為に分配したりしていた。(?)

Blenderを見つけたのはその頃だ。R&H社は古くさいインターフェイスのv2.48を私達のマシンにインストールした。私は幾度か学ぼうとしたが、いかんせんUIが違いすぎた。キャリアの中でたくさんのUIを見てきたがこいつだけはどうも響くものがないのだ。その後にBlender当局はオーバーホールしたUIの2.5をリリースした。すごく良くなってる!これなら使える!さっそく職場のマシンにダウンロードし勉強を始めた。

時は飛んで2013年。R&H社は破産宣告を行い突然リストラを始め規模を縮小することになった。その年の4月にR&H社を離れた後、独立系映画のVFXに関するフルタイムのフリーランス職を確保することが出来た。その2年間は自宅から仕事を行っていた。このことはつまり他人が作ったパイプラインではなく、ようやく自分なりのパイプラインが作れるようになったことを意味するものだ。それまでの3年間は3dsMaxを立ち上げてすらいなかった。3dsMaxを普通に使う時よりもBlenderの方が上手く早く作業を行うことが出来たからだ。ここで重要なのはBlenderは3dsMaxよりも優秀だということではない。Blenderが私の好きなやり方に合っていたということだ。

BlenderとAfterEffectsは私のホームスタジオの基盤となった。その他のフリーウェアやオープンソースソフトも私の小さなパイプラインに組み込まれた。私はまだまだ学び続けているのだ!Blenderが3Dアーティストにとってそうであるように、Natronがコンポジターにとって最新のオープンソースプログラムとなった。さらにはKrita(※訳者注 オープンソースソフトウェアのペイントソフト)まである、、、wow!これらのプログラムに搭載された機能群は本当に素晴らしい。もっと使いこなすことが出来るように日々模索している。その後はもちろんVFXスタジオに戻り、とうとうNukeの学習にも取り組むことになった。

多くの優秀なフリーウェア、オープンソースソフトウェアを発見し、私が学んだことを共有するためのブログを始めようとしている。こういったソフトウェアは時に曖昧でとても分かりにくい場合がある。そういった事を多くの人達に紹介するのが大好きなのだ。もちろん私が注目しているのはオープンソースの世界でもスマッシュヒットしているものだ。私はいくつかのコースやチュートリアルを用意している。他のプロフェッショナルアーティストを支援して彼らが慣れ親しんだハイレベルな方法をフリーツールを通じて使えるように手助けをするのが好きなのだ。もしあなたが興味をお持ちなら私はここで待っている。
www.openvisualfx.com(2016/2/24日現在ではまだ工事中)

これまでの話の教訓とはなんだろうか?あなたが一生懸命にマスターしたソフトウェアは単なる道具だということを心に留めておくべきなのだろうと思う。そうただのハンマーなのだ。

「この家を建てるのにどこのブランドのハンマーを使ったんだろう?それを知れば良い家かそうでないかが分かる」
こんなことを言う者は存在しないはずだ。

映画を見た人々は、VFXはソフトウェアの一部が導き出した単なる結果だとしか考えておらず、ハンマーのブランドで家の価値を判断しようとするのは不合理なことである。真実はこうだ、全てのプログラムは結局のところは好き嫌いに尽きる。それらのプログラムは、いくつかの必要になる機能は欠けていることだろう。だが知らないソフトウェアがその穴を埋めてくれるかもしれないし、補って余りあることもある。

家のクオリティを基礎付けるものは誰が建てたのかであり、デザイナーであり請負業者だ。このことはビジュアルエフェクトにも言える。業界で仕事を得られるかもしれないからこのソフトウェアを愛し一生懸命に学んでいる?そんなことにこだわるのは止めるべきだ。この仕事が出来るのはこのソフトウェアだけだ、という考えも止めるべきだ。他のソフトウェアを使用してプロジェクトを終わらせるのは良くない、という考えも止めなさい。ソフトウェアがやってくれることは同じなのだ。

コンポジティングで考えてみよう。全てのコンポジティングソフトウェアはフッテージAをフッテージBに置き換えることが出来る。良くなることもあるし悪くもなるだろう。違いを生みだしているのはマウスを動かしている人だ。ソフトウェア信者になってはいけない。技術を学び、何がリアルなイメージに必要なのかを理解し、どんなライティングや色がマッチするのかなどを知ることだ。VFXアートで価値があるのはこういうことなのだ。そういったことがアーティストとしての価値足り得るのだ。ソフトウェア、彼らが投げかけてくることを喜んで学びなさい。右腕を通じてソフトウェアが行うことに魅了されるのです。そしてソフトウェアがあなたの本当の右腕となってくれるよう一生懸命に働くのだ。

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